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「うつくしき」 (作詞:稲垣千頴・スコットランド民謡)
うつくしき わが子やいずこ
うつくしき わが長の子は
弓とりて 君のみさきに
勇みたちて 別れゆきにけり
うつくしき わが子やいずこ
うつくしき わが中の子は
太刀帯(は)きて 君のみもとに
勇みたちて 別れゆきにけり
うつくしき わが子やいずこ
うつくしき わが末の子は
ほこ執りて 君のみあとに
勇みたちて 別れゆきにけり
「蛍の光」(Auld Lang Syne)「才女」(Annie Laurie) と並んで日本に初めて入ってきたスコットランド民謡です。明治14年(1881)にわが国で最初の音楽教科書『小学唱歌集』第1編に載りました。この唱歌集全3巻の計91曲中、賛美歌やアメリカのスクールソングが多い中で、一割近い9曲もがスコットランドの歌なのです。その理由のひとつは、「ヨナ抜き」といって4番目と7番目の音階、つまり半音の「ファ」と「シ」が抜けていることが、日本人に歌いやすかったことかも知れませんね。しかし、いずれも歌詞の内容はすっかり別のものになっています。これも元の歌詞は、戦地に赴いた恋人の安否を気遣いその無事を願う少女の心情を歌ったものですが、日本では3人のわが子を防人として戦地に送った母親の思いを歌ったものになりました。「うつくしき」とは、「可愛い」ないし「大切な」という意味ですから現在とはかなり違いますね。原詩は次のような意味です。
「スコットランドの釣鐘草」 (訳:三宅忠明)
おお、教えてくれ、お前の恋人、ハイランドの若者が行った先を、
おお、教えてくれ、お前の恋人、ハイランドの若者が行った先を。
彼は、軍旗たなびかせ、気高き戦さの行われるところに行きました、
おお、私は彼の無事な帰りを心より祈るのみです。
彼は、軍旗たなびかせ、気高き戦さの行われるところに行きました。
おお、私は彼の無事な帰りを心より祈るのみです。
おお、教えてくれ、お前の恋人、ハイランドの若者が住んでいたところを、
おお、教えてくれ、お前の恋人、ハイランドの若者が住んでいたところを。
彼は、綺麗な釣鐘草の咲く、麗しきスコットランドに住んでいました、
おお、私は彼を心から愛しているのです。
彼は、綺麗な釣鐘草の咲く、麗しきスコットランドに住んでいました、
おお、私は彼を心から愛しているのです。
おお、教えてくれ、お前の恋人、ハイランドの若者が身につけていたものを、
おお、教えてくれ、お前の恋人、ハイランドの若者が身につけていたものを。
鳥の羽根そびえるボンネット帽かぶり、胸には長い肩掛けを、
おお、私は心からあのハイランドの若者を愛しているのです。
鳥の羽根そびえるボンネット帽かぶり、胸には長い肩掛けを、
おお、私は心からあのハイランドの若者を愛しているのです。
スコットランド・アクセントについてひとこと説明しておきます。Highland, heart, home の発音はそれぞれHeeland(ヒーランド), haret(へァルト), hame(ヘイム)のようになります。スコットランドの雰囲気を出すためにこのアクセントで歌ってみました。また、laddie, bonny, bonnet, plaid, はスコットランド独自の語彙で、それぞれ「若者」「美しい」「(スコットランドの兵士の冠る)ボンネット帽」「(スコットランド独特の長い)肩掛け」という意味です。
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