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むすんでひらいて 文部省唱歌、1947
むすんで ひらいて、
てをうって むすんで、
またひらいて てをうって、
そのてを うえに。
むすんで ひらいて、
てをうって むすんで、
またひらいて てをうって、
そのてを したに。
この遊戯歌を聞いたことのないひとはいないでしょう。昭和22(1947)年に出た最後の文部省唱歌のひとつです。昭和24(1949)年からは民間の出版社が発行する小学校音楽に代わりますが、この歌を採用しない教科書はありませんでした。これ以後の日本人はすべてこの歌を聞いて育ったことになります。最後の、「うえに」を、「したに」「むねに」「ひざに」などと代えて歌えば、どこまでも際限なく歌えましたね。実は、この曲の歴史はこれよりずっとずっと古いのです。多少の異論もありますが、作曲したのは18世紀フランスの思想家ジャン・ジャック・ルソー(Jean Jacque Rousseau, 1712-1778)だといわれています。「みわたせば」という題で日本の教科書に初めて載ったのは、明治14(1881)年のことでした。
見わたせば 1881 作詞:柴田清煕(きよてる)(1番)、稲垣千頴(ちかい)(2番)
(1番)
見わたせば、青やなぎ、
花桜、こきまぜて、
みやこには、道もせに
春の錦をぞ。
佐保姫の、織りなして、
降る雨に、そめにける。
(2番)
見わたせば、山辺には、
尾上にも、ふもとにも、
うすき濃き、もみじ葉の
秋の錦をぞ。
竜田姫、織りかけて、
つゆ霜に、さらしける。
このほかにも、行進曲、賛美歌、軍歌、などとしてさまざまな歌詞で歌われました。国外に目を転じますと、さらに多種多様の歌詞が存在します(参考:『むすんでひらいての謎』キングレコード、2003)。ここにあげた「ローディーおばさん」の綴りだけでも、Rhodie, Rhody, などと変化し、ときにはNancyになったりします。アメリカでも、19世紀はじめから、いろいろな歌詞が発表されてきたようです。
この歌詞を選んだ理由は、当サイトの目的である発音を中心とした英語学習の支援と、人間性の追求・解明に基づいています。各連とも最初の3行は比較的楽に歌えますね。問題は4行目です。他の行より多くの単語と音を含んでいますが、これをタンタン、タンタン、タンタン、の中に収めようとすると、連音、弱音、の発音をよく練習する必要があります。2番のToを普通に長く発音すると歌えません。スムーズに発音出来るまで根気よく舌慣らしをしてください。
母さんのガチョウが死んだらヒナのガチョウも生きて行けない、おくさんのガチョウが死んだら夫のガチョウが泣いている、とは人間社会と同じ、というより人間性そのものを歌っているのです。このような遊戯歌が、幼児のうちから、人間社会、家族、さらには命の尊厳を考えさせるきっかけとなっているのです。
英語の表現としては、次のようなものに気をつけてください。Go tell=Go and tell, Go to tell「・・・を伝えに行く」、Her old gray goose is dead.日本語歌詞の2回目の「むーすんで」の中に入れなくてはいけません。繰り返し練習が必要ですね。The one she's been saving「大切にしていたもの(ガチョウ)」、The goose she has been saving,のことです。現在完了の進行形ですね。goslins are dying「ヒナのガチョウが死にかけている」、近未来を表わす進行形に注意してください。Mama's dead=Mama is dead、.The gander is weeping「オスのガチョウが泣いている」、現在進行形、前連のものとは用法が少し違います。
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