Dreaming of Home and Mother
旅愁

作詞・作曲:オードウェイ/訳詞と歌:三宅忠明
朗読:三宅将之


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まず、きいてみよう→
そして、よんでみよう!→

よくきいて
発音をまねしてみよう!!

うたうためにはまず聞き取ることが大事です。
なんども聞いて英語のリズムを覚えましょう!
耳でおぼえよう!

旅愁 作詞:犬童球渓


更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ
恋しやふるさと なつかし父母
夢路にたどるは 故郷の家路
更け行く秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとりなやむ


窓うつ嵐に 夢もやぶれ
はるけき彼方に こころ迷う
恋しやふるさと なつかし父母
思いに浮かぶは 杜のこずえ
窓うつ嵐に 夢もやぶれ
はるけき彼方に こころ迷う


 かつて中学音楽の定番であった「旅愁」は、年配の方にはとても懐かしい曲でしょう。日本では、明治40(1907)年に『中等教育唱歌集』に載って以来1世紀にわたって愛唱されてきました。原曲はアメリカの医師オードウェイ(John P. Ordway, 1824-1880)の作詞・作曲になる Dreaming of Home and Mother「故郷と母を夢みて」(1868)です。日本語版は当時新潟の女学校で音楽教師をしていた犬童球渓(いんどう・きゅうけい、1879−1943)が書きました。心情的には共通する部分もありますが、原詩の翻訳ではありません。それどころか、原詩をはるかに超える出来ばえといってよいでしょう。どうしてこの歌詞がこれほどひとの心を打つのか、その理由は球渓の実体験に根ざしているからではないかと思います。新潟へ行く前、球渓は兵庫県の中学の教師をしていました。そこで彼は熱心に西洋音楽を教えようとしました。ところが、ここで思いもよらぬことが起こりました。よろこぶと思った生徒たちが、こともあろうに「軟弱」という理由で欧米の音楽を拒否し、球渓排斥の運動まで起こしたのです。「窓うつ嵐に 夢もやぶれ」はこのときの心境を歌ったものと思われます。傷心の球渓は新潟へ転勤しますが、この出来事は終生彼の心から離れず、ついには自ら命を絶つ結果につながったのかも知れません。「わびしき思いに ひとりなやむ」をはじめとして、全編にその思いが凝縮されています。「恋しやふるさと なつかし父母」は失意の人間が最後に頼るのは、やはり故郷と両親であることを示しています。球渓はもちろんペンネームで、故郷は熊本県人吉市を流れる球磨川の渓谷からとりました。3年後にコンバースの名曲What a Friend We Have in Jesus(このサイトでも紹介しています)に「星の界(よ)」(1910)の名歌詞をつけた杉谷代水がやはり故郷鳥取市を流れる千代川からペンネームを作ったのに似ていますね。
 曲の方も、「旅愁」には、原曲と微妙に異なる箇所があります。2小節ごとに終わりの部分の半拍の音符をひとつ削除しただけですが、曲の雰囲気がずいぶん違ってきます。これによって、曲の方も原曲を超えているような気がしませんか。日本でたゆまず歌い継がれた百年の間にアメリカではすっかり忘れ去られたという事実がこれを物語っています。この改変もたぶん球渓の手によるものでしょう。ここでも、「旅愁」のメロディーで歌うことを考えましたが、そのためには歌詞を幾分変えなければならないし、また聞き比べていただくことに若干の意味もあるだろうし、何よりもここでは「英語の歌」による「英語発音の習得」が目的であるのだからと考えて、あえて原曲で歌うことにしました。総じて無理なく歌え、繰り返しも多く、英語の発音練習にはもってこいの歌ではないでしょうか。
 では、少し語句の解説をしておきましょう。'tis sweet to find=it is sweet to find、itto以下を指します。oft=often、I've been dreaming of home and mother、現在完了の進行形です。「今までずっと―し続けていた」、と継続してきたことを表わします。when we did roam=when we roamed、didは強調です。balmy「(眠りなどが)さわやかな」、Keep me still thinking of mother「に・・・させ続ける」、cf: I'm sorry to have kept you waiting so long.「ながらくお待たせしてすみませんでした」、Hark!「聞け!」「おや!」、I seem to hear.「聞こえたようだ」、soothing me to rest「休むべく慰めに」、目的を表わす分詞構文です。none other「それ以外のものは感じない」、say I shall be blest「私に祝福があれと祈る」、Childhood has come, come again「幼年時代がやって来た=思い出された」、her loved form「彼女(母)のやさしい姿」、brow「ひたい」発音に注意。