訳詞:徳山たまき
優しく 奏ずるは
ゆかし ウクレレよ
ハワイの波静か
夢を乗せて揺るる
アロハ・オエ アロハ・オエ
こだまする あの調べよ
アロハ・オエ アロハ・オエ
さらば ハワイよ
おとめの 掻き鳴らす
うれし ギターレよ
果てなき海越えて
遠く遠く響け
アロハ・オエ アロハ・オエ
こだまする あの調べよ
アロハ・オエ アロハ・オエ
さらば ハワイよ
ハワイ王朝最後の女王リリウォカラニ(1838−1917)の作詞・作曲と伝えられていますが、この英訳者(一部原作者)は不詳です。リリウォカラニはその高い教養と博識のために多くの住民の信望を集め、1898年にハワイがアメリカ合衆国に併合されたあとも、生涯女王として慕われ続けました。そして、その死後もこの歌は多くの人に歌い継がれ、今日では広くハワイを代表する民謡と考えられています。「アロハ・オエ」とは、現地語で「さようなら」を意味しますが、反乱者として捕らえられた200名の命と引き換えにイオラニ宮殿を明け渡した女王の、前王であった亡き兄、国民、そして国に対する、万感の思いが込められているように思えます。もっとも、女王が霊感を受けたのは1870年代のある日、別れを惜しんで接吻を交わす恋人同士の姿を見て、とされていますから、上の解釈はその後のハワイの歴史を反映したものです。
日本語の歌詞はたくさんありますが、上の訳詞は戦時中から藤山一郎たちと並んで人気を博した徳山たまき(1903−1942)によるものです。これ以外では堀内敬三、伊庭孝のものがよく歌われるようです。
liko「リコ」、ハワイ特有の山花、数枚の肉厚の緑の葉の中に小さな白い花をつける。ahihilehua「アヒヒレフア」、ハワイの渓谷に見られる潅木。Aloha Oe、英訳ではFarewell to thee「さらば、きみ」となっていますが、ここではあえて馴染みの深い「アロハ・オエ」と歌ってみました。bowers「木陰」、One fond embrace「心を込めた抱擁をもう一度」、embrace、恋人同士の接吻を伴う抱擁。肉親や友人との抱擁は、hug。hug and kissとはよく言いますが、embrace and kissとは言いません。thou art mine own=you are mine(my) own。I have seen and watched your loveliness, The sweet rose of Maunawili「マウナウィリのバラ」と「きみ」をかけました。'tis there=it is there that…(強調構文です)。