ある人とこんな話をしました 。
「近所にイギリス人の宣教師が越してきたので、英語を教えてくれと頼んだら、いいよというので出かけて行ったのですよ。
ところがですね、いきなりABCからやろうというじゃあありませんか 。冗談じゃないでしょ、ABCからなんて 。
じゃあ、いいですといって帰ってきましたよ」
「あなた、ABCの歌、歌えますか」
「歌えますとも 。中学のときよく歌いました 。今でもちゃんと覚えてますよ」
「じゃあ、歌ってみてください 。英語でですよ」
「エー、ビー、シー、ディー、イー、エフ、ジー、エッチ、アイ、ゼー、ケー、エル、エム、エン、オー、ピー、キュー、アール、エス、ティー、ユー、ブイ、ダブリュー、エックス、ワイ、ジー、 ・ ・ ・」
「あなたね、その牧師さんは最高の先生だったかも知れませんよ 。惜しいことをしましたね」
そのひとは、とてもけげんそうな顔をしています 。みなさんは、私の言ったことばの意味が分かりますね 。
英語音を日本語のカタカナで正確に表すことは出来ませんが、このひとの発音は、
GもZも「ジー」なのです。
それより前に最初のAを「エー」と発音するのを聞いたとたんに、このひとが発音に無頓着なことが分かりました。
英語ではエ〔e〕の音が、音引き(長音)になることは、絶対にないのです。
だから、KやJも「ケー」や「ゼー」ではありません。
これらは、二重母音といって、「エィ」「ケィ」「ジェィ」を一音として発音するのです。
同様に、「メール」「エース」「テーブル」なども、英語音としてはとても変に聞こえます。
どちらかといえば「メィル」「エィス」「ティブル」に近いですね 。ではシェークスピアはどうなりますか? そう、シェイクスピアですね。
Cは「シー」ではなく「スィー」です。
それが濁ったのがZですから、「ズイー」くらいになります。Gとはずいぶん違いますね。
もっともこれはアメリカ音でイギリスでは「ズエッド」に近い発音をします。
これ以外にも、J,L,R,V,などは日本語にない音ですから、注意を要しますよ 。
では、まず発音練習してから、元気よくみんなで歌ってみましょう!
A-Zまでの歌い方はふたつありますが、日本では(1)(3)が、英米では(2)が一般的のようです。
みなさんはどちらが好きですか。
Zまで歌ったら、(1)、(2)、(3)の後半のどれかを付け加えて終わりにしましょう 。
(3)の happy shall we be は、we shall be happy の語順が入れ換わったものです 。
意味を強めるための倒置法といって高等学校レベルの表現ですが、みなさんは覚えられますね 。