1950年代、平川唯一先生のあとを継いだ松本亨先生担当のNHKラジオ英語会話番組のテーマソングでした。最初のころしばらくの間、合唱の曲が流れたあと、松本先生が歌詞を何度か朗読し、解説されたのを、高校生になったばかりだった私は、今でもはっきりと覚えています。‘Golden Rule'とは「黄金律」といい、このサイトでも以前に紹介していますが、同名のスクール・ソング(または賛美歌)があります。日本では「旅泊」ないし「灯台守」として知られています。参考にしてみてください。「自分にしてほしいことを他人に対してしなさい」との教えで、人間が平和で幸せな生活を送る上でもっとも崇高な掟なのです。次の行の「読み、書き、算術」は、洋の東西を問わず、勉学の基本ですね。先生がヒッコリーの鞭を振りながら楽しそうに授業をされている様子が目に浮かびます。もっとも、いたずらっ子や怠慢な生徒にとっては、一転して体罰の道具にかわるヒッコリーの鞭は恐怖の対象でもあったようですが。
さて歌のほうは、「はだしのはにかみやだったぼくにとって、キャラコの服を着た女王様」だったきみがぼくの石版に「大好きよ」と書いてくれた、幼いカップルだった頃のなつかしい思い出で締めくくられます。まだノートもエンピツもない時代、こどもたちは各自石版を持って学校に通い、その上に蝋石で文字や絵を書いていました。そんな時代から、こどもどうしが “I love you”などと言い合う、アメリカってすごい国だなあ、と思ったものです。
お断りしておきますが、実はこの歌には、
Nothing to do, Nellie Darling,
Nothing to do you say,
Let's take a trip on memory's ship,
Back to the bygone days.
Sail to the old village school house,
Anchor outside the school door,
Look in and see,
There's you and there's me,
A couple of kids once more.
【大意】することがないなら、ネリーちゃん、思い出の舟(タイムマシン)に乗って、あの村の小学校時代に帰ってみようよ。校舎の入り口の外に錨をおろし、教室をのぞいてみるんだ。ほら、きみがいる、ぼくもいる。もう一度こどものカップルに戻れたね。
という余り歌われない本体があるのですが、ここでは多くの人に特に人気のあった繰り返し(または、コーラス)部分のみを紹介しました。
to the tune of「…の調子を合わせて」、前置詞to「…に合わせて」に注意。a hickory stick「ヒッコリー(北米産のクルミ材の一種)の鞭」、昔の先生は鞭を振って調子を取りながら授業をしました。「スズメの学校」の先生も、鞭を振り振りチーパッパ、と授業していましたね。in calico「キャラコ(アメリカでは、きれいな花や鳥の模様のついた綿布、イギリスでは白い無地の服)を着た」、ここではアメリカの歌ですから無論前者です。前置詞in「…を着た、…を身につけた」に注意。beau「ダテ男、(男の)恋人」、発音に注意。slate「石版」、かつては、この上に蝋石で文字や絵をかいていました。“I love you so.”は初版では、“I love you Joe.”となっていました。